水分活性とは
水分活性(Aw)とは
食品、薬品の腐敗、発酵、カビはそれらに含まれる水が関係しています。微生物が生育するためには水分が不可欠だからです。食品中に含まれる水分にはその形態から結合水、自由水に分類されます。結合水は食品の構成成分であるタンパク質や炭水化物と固く結合した水で、自由水は環境や温度、湿度の変化で容易に移動や蒸発がおこる水です。これらの中で微生物が繁殖に利用することができる水は自由水です。この自由水の割合を水分活性(Aw)という単位で表します。
水分活性(Water Activity)は、1950年代にW.J.Scottによって食品学分野に導入され、食品中における微生物の生育に影響をおよぼす要因でることが指摘されました。
水分活性(Aw)は、食品を入れた密閉容器内の水蒸気圧(P)とその温度における純水の蒸気圧(P0)の比で定義されます。
Aw=P/P0
また、食品の平衡相対湿度(ERH)の1/100とも考えられます。
Aw=P/P0=ERH/100
すなわち、食品を入れた密閉容器内の平衡相対湿度が80%ならば、水分活性(Aw)は0.800Awになります。このように、現在ある水分活性測定器は湿度を測定することにより水分活性(Aw)を測定しているのです。
水分活性と微生物の増殖
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微生物にはそれぞれ生育可能な水分活性範囲があり、ある水分活性以下では生育できなくなります。その水分活性は生育最低水分活性と呼ばれ、食品の微生物的変敗を防止する上で重要な指標となるほか、どの微生物が食品変敗の原因となりうるか予測することが可能になります。一般細菌は水分活性が0.90Aw以上で増殖し、生育に最適な水分活性は0.98Aw以上であると言われています。多くの食中毒菌の生育最低水分活性は0.94Aw以上ですが、黄色ブドウ球菌は耐塩性が高く0.86Aw以上でも生育が可能です。酵母菌は0.88Aw以上で生育し、カビは細菌や酵母に比べ乾燥に強く、0.80Aw以上で生育します。好塩性細菌、耐乾性カビおよび浸透圧性酵母などは更に低い水分活性でも生育が可能です 。水分活性を0.50Aw以下に抑えることができれば、どんな微生物の増殖も防ぐことができます。
熱指数式は何ですか?
水分活性 | 微生物例 | 食品例 /水分 |
0.950 | 大腸菌、シュードモナス Proteus,Shigella,Klebsiella, Bacillus,Clostridium, perfringens,some yeasts | 生鮮果実、野菜/87% ソーセージ/69〜66% パン/約35% かまぼこ/73〜70% |
0.910 | サルモネラ菌、ボツリヌス菌、 コレラ菌、腸炎ビブリオ Serratia,parahaemolyticus, Phicia,lactobacillus,Pediococus, Rhodotorula | チーズ/約40% ハム/65〜56% 果汁/88〜86% |
0.870 | 酵母(Candida,Torulopsis,Hansenula)Micrococus | シラス干し/59% サラミソーセージ/30% スポンジケーキ/25% 塩鮭/60% |
0.800 | カビ(mycotoxigenic penicilla) 黄色ブドウ球菌, most Saccharomyces(baillii)spp., Debaryomyces | 米/14〜13% 豆類/− イカ塩辛/64% フルーツケーキ/− |
0.水を超えている竜巻は何と呼ばれてい750 | 好塩性細菌 mycotoxigenic aspergilli | ジャム、マーマレード/約30% 蜂蜜/約16% 醤油/− |
0.650 | 耐乾性カビ(Aspergills chevalie, A.candidus,Wallemia sebi), Saccharomyces bisporus | 裂きイカ/30% ゼリー/18% 干しエビ/23% |
0.600 | 耐浸透圧性酵母(Saccharomyces rouxii), いくつかのカビ(Aspergills ecbinulatus, Monascus bisporus) | 乾燥果実/17〜15% 煮干し/16% 小麦粉/14〜13% |
0.500 0.400 0.300 0.030 | 微生物は増殖できません。 | 麺類/12% 全卵粉末/5% クッキー、クラッカー/5〜3% 乾燥野菜/約5% |
上記の表は水分活性と微生物の関係を示したものですが、同一水分含量でも食品によって水の存在状態が異なり、水分活性は変化します。塩分や糖分を多く含む食品は、自由水が結合水となり、水分活性は低下します。また、水分活性を低下させるためには乾燥も有効な方法です。水分活性を低く抑えることができれば、食品中の微生物の繁殖を抑えることができ、食品のシェルフライフ(保存期間)を長くすることができるだけでなく食中毒などの危険を避けることができ、その食品にどのような微生物が繁殖するかを予測することも可能になります。
食品の微生物の繁殖には、水分活性、pH、温度などのいくつかの要因がありますが、水分活性はシェルフライフを決定する最重要要因になります。
水分活性が低い食品は保存性に優れているのですが、水分活性は食品の味や色、テクスチャー(歯ざわり、舌ざわり)、脂質の酸化に密接な関係があり、水分活性をただ低く抑えるわけにはいきません。また、現代の消費者はますます健康志向が高まり、低塩、低糖、保存料や人口着色料で汚染されていない自然なものを求めるのが今の大きな流れです。そのため食品の水分活性が以前より上昇してしまうことがあります。その反面、販売店では面積的にもコストのかかる冷凍食品ケースをこれ以上増やしたくはありません。消費者のこれらの要求に応え、安全性を維持しながら、日持ちの良よい食品をどうやって作り出すかに水分活性が重要になります。水分活性を正確に知ることは、商品を目的とする水分活性に保つのに最低限必要� ��保存料がわかり、最少量の添加物で保存期間をコントロールすることができます。例えば、米国のある企業では、成分を混合する順序によって最終製品の保存期間が違ってくると報告しています。水分活性を基準として、生産プロセスにおいてどのパラメーターが重要かを判定し、管理しています。また、オーブンにかける時間を決定するために、水分活性を測定し、ベルトコンベア−のスピードを調整している企業もあります。このように水分活性は、シェルフライフだけでなく、食品の安定性や品質の管理にも利用されています。
参考文献
Activity of Some foods and Susceptibility to spoilage by Microorganisms Adapted from beuchat(1981)
「食品包装便覧」日本包装技術協会 P228.229(1988)
徳岡敬子:ジャパンフードサイエンス P52-58(1993-4)
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